東京オリンピックに出場のベラルーシ代表の選手が帰国を拒否して亡命を希望し、話題になっています。
ベラルーシ代表の選手は誰なのか?また、亡命した理由をわかりやすくまとめて見ました。
亡命したベラルーシ選手はクリスチナ・チマノウスカヤ選手
亡命した選手は陸上女子のベラルーシ代表、クリスチナ・チマノウスカヤ選手(24)です。
世界選手権などで結果を残し、今回オリンピックの代表に初めて選ばれました。
陸上女子100メートル予選(7月30日出場)
陸上女子200メートル(8月2日出場予定)
亡命したベラルーシ選手のクリスチナ・チマノウスカヤに何が起きたの?
8月1日、陸上チームの監督や代表者から急に「あなたを帰国させるという決定が下された」と言われ、急ぎ荷物をまとめるよう指示されたということです。
これについてベラルーシのオリンピック委員会は、チマノウスカヤ選手の感情面や心理的な状態が原因だという医師の判断から、チームから外して帰国させることを決めたと主張しています。
そこで監督がチマノウスカヤ選手を本人の同意なしにエントリーしたようです。
クリスチナ・チマノウスカヤ選手の亡命のきっかけは何?
チマノウスカヤ選手によりますと、事前のドーピング検査を受けずに出場できなくなった他の選手に代わって、自分には経験がない1600メートルリレーに出場するよう一方的に決められたというのです。
そこで、チマノウスカヤ選手は不満を自身のInstagramに投稿しました。
「監督などは、事前に私の体の状態を知ろうとしたり、400メートルを走る準備ができているか尋ねたりすることもありませんでした。上に立つ人たちはアスリートに敬意を払い、時には意見を聞く必要があります」
この投稿が監督などの怒りをかってしまいました。
クリスチナ・チマノウスカヤはなぜベラルーシに帰国せずにポーランドに亡命をしたの?
チマノウスカヤ選手は、帰国に向けて羽田空港に向かう途中、電話で話した祖母から「安全ではないので戻らないで。精神病院か刑務所に入れられるかもしれない」と伝えられ、亡命を決意したということです。
8月1日の夜、空港までチームスタッフに連れて行かれたところでチマノウスカヤ選手は帰国を拒否し、近くにいた警察官などに翻訳アプリを使って保護を求めました。
ベラルーシとはどんな国?
ベラルーシは30年前、旧ソビエトの崩壊から独立をしました。
欧米からは「ヨーロッパ最後の独裁者」と批判されています。
ことし5月には、国際線の旅客機をベラルーシに強制的に着陸させ、乗っていた反政権派のジャーナリストを拘束する暴挙にも出ました。
クリスチナ・チマノウスカヤ選手の急な帰国決定には政権側の関与があった?
はっきりとしたことは分かっていませんが、チマノウスカヤ選手が急な帰国を指示された背景には、ルカシェンコ大統領の判断があったという見方もあります。
クリスチナ・チマノウスカヤ選手が亡命先にポーランドを選んだのはなぜ?
ポーランドは、ベラルーシのルカシェンコ政権の弾圧から逃れる反政権派の人たちが集まり、情報を発信する場にもなっています。
ポーランド政府は、こうした人たちを積極的に支援する姿勢を示し、チマノウスカヤ選手に対しても人道的な配慮からビザを緊急で発給し、亡命を受け入れたようです。
チマノウスカヤ選手は都内のポーランド大使館に身を寄せたあと、8月4日に成田空港を後にしました。
IOC(国際オリンピック委員会)はどんな対応をした?
IOCは、ベラルーシの陸上チームの監督など2人がチマノウスカヤ選手に帰国を求めていたことを確認し、6日、大会参加に必要なIDカードを剥奪したとのことです。
クリスチナ・チマノウスカヤ選手の今後は?
チマノウスカヤ選手は、ポーランドで今後もアスリートとして活動していく決意を示しています。
そして会見の最後には「I JUST WANT TO RUN(私はただ走りたい)」と書かれたTシャツを掲げていました。
これからも走り続けていただきたいですね!